「歌え!悲しみの深き淵より」静かな感動呼ぶ

劇団東演「歌え!悲しみの深き淵より」は、普遍的な親子の葛藤を描いたアメリカが舞台の作品。派手さはないがその味わい深い舞台から静かな感動が拡がっている。原題は「私は決して父のために歌わなかった」。翻訳者で初演時の演出・木村光一氏は絶妙な作品名をつけたと感じる。地味と思われたその作品は、その奥深く味わい深い世界観から、会員の人生を振り返り見つめ直す機会となったようだ。

恒例のロビー交流会も多くの会員が、親子役4名の俳優陣を囲って和やかに行われた。しかし、父親トムを演じた能登さんのストイックな役作りには、ロビー交流会に参加した誰しもが驚きの声をあげた。何と体重を20㎏も落としたというのだ。文学座の釆澤さんが演じた息子ハリーとの言葉の格闘は観る者の胸を熱くしたが、その裏には涙ぐましい努力が隠されていたのだ。

母親マーガレットの和泉さんは初演時、看護婦役を演じていたというが、40年以上の歳月を経ての母親役はとても楽しかったという。

息子と娘を演じたお二人は文学座から初の東演出演。座組の違いは感じたというが、東演の俳優陣は皆優しく直ぐに馴染むことができたという。文学座のお二人が加わっての再々演を私たちは十分に堪能した。